林剛司のblog

Asahi Weekly(朝日新聞社)紙上にて「放課後ブッククラブ」という連載を書いています(2015年~)。『ローリングストーン』誌(日本語版)の元・翻訳者。訳詞家でもあります。近著『中学英語でもっと読みたくなる洋書の世界』(2024年5月、青春出版社)/『日本人のための楽しい「英語読書」入門─GRからはじめる「語感」を養う英語学習のススメ』(22世紀アート, 2023年)/『中学英語から始める洋書の世界』(青春出版社、2020年)

中学・高校の英語教員として20年ほど勤めた後、大学に移り、現在、大学で英語、英米文学(文化)、異文化理解、英語科教育法などを教えています。Asahi Weekly紙上にて「放課後ブッククラブ」という連載を書いています(2015年~)。『ローリングストーン』誌(日本語版)の翻訳者をしていました。訳詞家でもあります。近著『中学英語でもっと読みたくなる洋書の世界』(2024年5月、青春出版社)/『日本人のための楽しい「英語読書」入門─GRからはじめる「語感」を養う英語学習のススメ』(22世紀アート, 2023年)/『中学英語から始める洋書の世界』(青春出版社、2020年)

Pearson English Readers シリーズの Sherlock Holmes and the Mystery of Boscombe Pool(Level 3, retold by John Escott)を読んでいます。コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ短編「ボスコム谷の惨劇」を、英語学習者向けに読みやすくリトールドした一冊で、ストーリーを楽しみながら英語表現も学べます。

さて、シャーロック・ホームズの物語を読んでいると、ワトスンのもとにホームズからの電報や手紙が届く場面がよく登場します(メールはまだ存在しない時代ですので)。今回私が手に取ったリトールド版でも、次のように書かれていました。

It read:
Are you free for a day or two? Must go to the west of England to help with the Boscombe Pool murder. Shall be glad if you can come with me. The change will be good for us. Leaving Paddington station on the 11.15 train.

ここでの “It read”read は、「読む」ではなく「〜と書かれていた」という意味です。ここでのreadは過去形ですので /red/と読みます。

“It read” と “It said” の違い

同じ意味で “It said...” と言うこともできますが、ニュアンスが異なります。

  • It read:
    → 書かれている文字をそのまま引用する場合に自然。

  • It said:
    → 内容を要約して「〜と伝えていた」と述べる場合に自然。

例文で比較:

  • The notice read: “No Parking.”(掲示には「駐車禁止」と書かれていた)

  • The notice said that parking was not allowed.(掲示は「駐車は禁止されている」と伝えていた)

どちらも事実は同じですが、read は「文字の再現」、said は「内容の伝達」 という違いがあります。


さらにもう一歩踏み込むと、said と相性の良い表現があります。それが “something to the effect that...” です。

これは「おおよそ〜という趣旨で」という意味で、正確な言葉を再現せずに「大意」を伝えるときに便利です。


  • The note said something to the effect that we should meet at 5.
    (メモには「5時に会うべきだ」という趣旨のことが書かれていた)

一方、read は「書かれている文字そのもの」に焦点を当てるので、この表現とは組み合わせません。

まとめ

  • It read: 文面をそのまま引用する → 「文字」を重視

  • It said: 内容を要約して伝える → 「意味・メッセージ」を重視

  • It said something to the effect that...: 正確な引用ではなく、大意を伝えるときに使える便利表現


英語学習の継続は「習慣化」がカギ。特に、朝の時間をうまく使って英語に触れることができれば、一日のスタートがぐっと知的になります。私がおすすめしたいのは、Asahi Weeklyの第一面の英文を毎朝音読するというシンプルな習慣です。

Asahi Weeklyの第一面には、大きなカラー写真と、それに添えられた「今この瞬間の世界を伝える50語前後の英文」が掲載されています。短くても時事性が高く、語彙や表現も実用的。視覚的にも印象に残るため、朝の音読教材として非常に優れています。左半分に英文、右半分に和約(英文に対する逐語訳ではないですが要約に近い和訳)が掲げられています。

なぜ朝の音読が良いのか?

1. 脳が冴えている時間にインプットできる

朝は記憶の定着が良いゴールデンタイム。まだ頭がリセットされた状態なので、新しい英語表現がすっと入ってきやすいのです。

2. 毎日続けやすいボリューム

Asahi Weeklyの第一面の英文は、おおむね50語前後。読むのにかかる時間はわずか1~3分。長すぎず、でも中身はしっかりある。学習を習慣化するうえで理想的な長さです。

3. 語彙・表現が実用的

国際ニュースに関するトピックが多く、英検やTOEIC、大学入試にも出そうな単語・表現が頻出。たまに文語的な、あるいはフォーマルな語も登場します。たとえば最新号(2025年6月15日号)にはquell(鎮圧する)やire(怒り)など、日常英会話ではあまり使われないかもしれませんが、ニュース記事、英検準1級〜1級、TOEFLなどで頻出の語であり、英語母語話者であれば確実に使いこなしている語です。意味が分かりにくくても、写真や文脈の助けがあるので理解しやすく、「覚えたくなる」語になるのです。

1日10分のおすすめルーティン

所要時間 やること
1分   英文をざっと読んで内容をつかむ
3分 わからない単語を調べる(1~2語でOK)
3分 音読を2回(1回目はゆっくり、2回目は滑らかに)
2分 和訳を見て英語に戻してみる(リプロダクション、復文)


これは「初見」の時に要する時間で、このプロセスを経たら後半の「音読」だけでもいいです(3分間)、リプロダクション(2分間)だけでもいいですし、後半を合計してもたった5分!

ポイントは、「ただ読む」のではなく、意味を意識しながら声に出すこと。スピーキング力や語順感覚の強化にもつながります。

習慣化のコツ

  • 時間と場所を固定:たとえば「朝のコーヒーの前」や「出勤前の5分」など

  • 記録する:カレンダーに✅をつけて達成感を可視化

  • 無理せず継続:最初の1週間は「多少眠くても続ける」が大事

まとめ

  • 朝の音読は英語脳を起こすスイッチ

  • Asahi Weeklyの第一面は、短くても本格的な英文素材

  • 毎朝たったの3分でも、半年後には約12,000語分の音読が積み上がる計算です

    語数の計算(週1 × 半年間)

    • 1回の音読:約500語

    • 1ヶ月(4週間):500語 × 4 = 2,000語

    • 半年(6ヶ月):2,000語 × 6 = 12,000語

「まとまった時間は取れないけど、何か英語を毎日やりたい」という方にこそ、Asahi Weeklyの音読習慣はぴったりです。あなたも明日の朝から始めてみませんか?

授業で学生達と、Cyanthia Rylant著Mr. Putter & Tabby Pick the Pearsという絵本を読んでいます(この本や著者のCyanthia Rylantについては拙著『中学英語でもっと読みたくなる洋書の世界』や動画でも紹介しています)。主人公のMr. Tabbyの大好きな季節「秋」(fall)がやってきました。

"Fall was his favorite season because of pear jelly."(秋が彼のいちばん好きな季節だった、梨のジャムのために[があるから])

この一文をモデルに、学生自身の経験を織り交ぜて書く活動を展開します。

Step 1:まずは自分の季節と理由を一文で

たとえば:

Spring is my favorite season because of strawberries.

Step 2:少しずつ語を加えていく

  • sweet strawberries

  • the sweet strawberries in my garden

  • the sweet strawberries that grow in my garden every year


同じ文の「because of」の後に語を足すだけで、表現の豊かさがぐっと増し、語順や修飾語の感覚も自然に身についていきます。既習語を思い出したり、新たに未知語に遭遇したりしながら。


教育的な価値と効果

1. モデル文の力を活かす

  • 絵本の一文という「意味ある出典」があることで、学習者は言葉を「借りて使う」「安心感」を得られます。(英借文)

2. 構造のコントロール+意味の自由度

  • 主語+be動詞+favorite season+because of の構造は保ちつつ、「理由」の部分に個人の経験や感情を込められるため、発信力が高まります。

3. 「加える」ことで気づく語順と修飾

  • たとえば:

    • pear jelly

    • → sweet pear jelly

    • → homemade sweet pear jelly

    • → my grandmother’s homemade sweet pear jelly

    と発展させることで、形容詞の順序や所有格の位置など、文法的感覚も自然に身につきます。


活動案:ビルディングライティング(Building Writing)

Step 1:モデル提示

Fall was his favorite season because of pear jelly.

Step 2:同じ型で書かせる

Spring is my favorite season because of strawberries.

Step 3:語句を加えさせる(段階的に)

ASpring is my favorite season because of strawberries.
B Spring is my favorite season because of sweet strawberries.
CSpring is my favorite season because of the sweet strawberries in my garden.
DSpring is my favorite season because of the sweet strawberries that grow in my garden every year.

同じ文のbecause ofの後に語を足すだけで、表現の豊かさがぐっと増し、語順や修飾語の感覚も自然に身についていきます。

このように少しずつ語句を足していくという練習は、前述のとおり、既習語を思い出したり、新たに未知語に遭遇したり、そして「辞書を引いてもOK」にすると、ついでに他の例文やコロケーションを目にすることになったりして(「辞書って便利(面白い)」と気づくきっかけにもなり得ます)、とても良い(効果的な)訓練法です。またこれは、学習者がすでに意味を知っている語(受容語彙)を、実際に使える語(能動語彙)へと転換していくための良いステップになります。いわゆる「知っているけれど使えない単語」を、「自分の言葉として使える語彙」に変えていく練習です。

ついでに、学生達は、becauseであれば文が続く、because of...の後は名詞や動名詞が続くことも思い出すきっかけになりました。

Spring is my favorite season because of the cherry blossoms.
Spring is my favorite season because the flowers bloom beautifully.


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